エリオット波動理論とは、相場は波で動き、波の動きにはサイクルがあるといった有名な理論です。
使いこなせば、次の展開を先読みしたり、優位性のあるトレードができます。
とは言え、エリオット波動理論を使いこなすのは難しい。
「第3波だと思ったのに下がった・・・」
「波のカウントができない!というか数が合わない!」
「フィボナッチ使ってエントリーしても上手くいかない。」
エリオット波動理論をFXで使う時、こんな悩みに直面するはず。
私もそうでした。
今年でFX歴4年に突入しますが、エリオット波動理論は簡単な使い方があります。今回は「エリオット波動理論の基礎~実践」まで分かりやすくまとめました。
【基礎】エリオット波動理論とは
上昇トレンドの第1波から第5波、下降トレンドのA~Cで構成されるサイクル理論
エリオット波動理論は、米国のアナリストであるラルフ・ネルソン・エリオット氏が考案した超有名なサイクル理論です。
エリオット波動理論のオリジナルは、上昇5波と下降3波で構成されています。
エリオット波動理論は、株式相場が発祥なのでFXでは使えないといった意見もありますが、実際にはFXの為替市場を含め、あらゆる市場へと応用可能です。
ポイントは「オリジナル(本来)のエリオット波動理論」を使うこと。
現代版やら、難しい波のカウントが存在しますが、実際の相場で使うのは複雑過ぎます。
考案者のエリオット波動理論の定義とセオリーを覚えましょう。
エリオット波動理論の原則「波のカウントにはルールがある」
【原則①】第3波が最も短くならない
【原則②】第2波の安値は第1波の安値を超えない
【原則③】第4波が第1波の高値を下回らない
エリオット波動理論は、何となく波を数えてはいけません。
波のカウント方法には3つの絶対的な原則があります。
上記の【原則①~③】は非常に重要です。
エリオット波動理論の原則は、上昇波動(インパルスウェーブ)の1~5波に対してのみ決められています。
実は、オリジナルのエリオット波動理論には「下降フェーズに対して、何ら取り決めがない」重要ポイントです。
【エリオット波動理論の原則①】第3波が最も短くならない
エリオット波動理論で波のカウントを行う際、「第3波が最も短くはならない」のが1つ目の原則です。
上昇トレンドを構成する第1波~第5波の内、高値を切り上げるのは第1、第3、第5波。
3つの推進波動の中で、第3波が最も短くなる場合は、波のカウントを間違えていると考えます。
相場心理の話を加えると、第1波は上昇トレンド発生の初動、第3波は押し目を作り、多くの人が上昇トレンド転換を感じやすい局面です。
したがって、買い注文が入りやすく、第3波は一貫性を持って価格を上昇させます。逆転の発想で、エリオット波動理論における第3波は最も長くなりやすい傾向があるのもポイントです。
【エリオット波動理論の原則②】第2波の安値は第1波の安値を超えない
エリオット波動理論2つ目の原則とは「第2波の安値は第1波の安値を超えない」です。
ごく当たり前ですが、第2波が第1波の安値を下回った場合、その後の第3、第4、第5の展開が成り立たなくなります。
なぜなら、前述した通り、第1波の発生は上昇トレンドの初動だからです。上昇トレンドとは、高値と安値が右肩上がりに推移している状態。
「第2波が第1波の安値を超える」=「高値切り上げ、安値を更新」となります。
そもそも、明確に上昇トレンドの初動とは言えなくなるのです。
【エリオット波動理論の原則③】第4波が第1波の高値を下回らない
エリオット波動理論3つ目の原則「第4波が第1波の高値を下回らない」。
3つ目の原則を覚えるのは、さほど難しくはないでしょう。
なぜなら、仕組みとしては2つ目の原則と同じだからです。
第4波は、第1~5波の上昇トレンドで付ける「最後の押し目」になります。第2波と同様に、前回の高値を超えて形成することで、相場心理は上昇トレンドの継続を再認識。
つまり、まだ上がると考える市場参加者が多いからこそ、次の第5波が成り立つのです。
エリオット波動理論のセオリー「フィボナッチで波の予想ができる」
エリオット波動理論における波の定義、数え方の原則を解説しました。
定義・原則を知った後に、やはり気になるのは「次に発生する波のタイミング」です。
例えば、エリオット波動理論で最も長くなりやすい第3波を買い注文で利益にしたいと考えます。
第3波を狙う時、必要なのは「第2波がどこで終わるか?」の予想です。
エリオット波動理論には、定義(原則)と同じぐらいに有名なセオリーが存在しています。
テクニカルツール「フィボナッチ・リトレースメント(以下FR)」を使うことで、第2波・第4波の予想が可能です。
エリオット波動理論「第2波」と「フィボナッチ・リトレースメント」
エリオット波動理論の第2波が付ける安値は「第1波に対し、FR0.5~0.786と同じになりやすい」といったセオリーがあります。
なぜなら、第1波は上昇トレンドの初動だからです。
第1波が発生する直前は下降トレンドであり、ほとんどの市場参加者は下降トレンドの継続中といった見方をします。
そして、上昇トレンドの初動とみて買うなら、極力は安値付近で買いたいと考えるでしょう。
第2波は結果として、フィボナッチ・リトレースメントの0.5以下、より深い押し目の水準で買われやすいセオリーが成り立つのです。
私の経験則を交えると、FR0.618もしくは、FR0.786までの水準で第2波の安値が完成する傾向が強く感じます。
エリオット波動理論「第4波」と「フィボナッチ・リトレースメント」
エリオット波動理論の第4波が付ける安値は「第3波に対し、FR0.236~0.382と同じになりやすい」といったセオリーがあります。
2つ目のセオリーを論理的に説明可能です。
第4波の直前は、第3波による最も長くなりやすい上昇局面が起きます。つまり、対局は上昇トレンドとの見方が市場参加者において強いです。
上がる可能性が高ければ、誰でも割安で買いたいと考えます。したがって、第3波の上昇幅に対するフィボナッチ・リトレースメントの中でも浅い水準、FR0.236やFR0.382と重なりやすいのです。
エリオット波動理論は難しい?
エリオット波動理論の定義とセオリーを解説しました。
おそらく、ここまでについて悩む人は少ないと思います。
エリオット波動理論で難しいのは、波のカウントを正確に行おうとすうるのが原因です。
仮に、エリオット波動理論を使い、波のカウントを正確に行うなら膨大な過去データを見なければなりません。根本的にですが、エリオット波動理論には超長いサイクルがあるのです。
- Grand Super Cycle
- Super Cycle
- Cycle
- Primary
- Minor
- Minuet など
考案者であるエリオット氏は、相場サイクルはいくつかの周期に分けて存在するとしており、全てのサイクルに第1~5波とABCの波があります。
第1波~第2波は、短期の1~5波・ABCサイクルが含まれるといった、いわゆる「フラクタル構造」がエリオット波動にもあるということです。
数世紀におよぶ「Grand Super Cycle(グランド スーパー サイクル)」の中には、数十年周期のスーパーサイクル、また数年周期の・・・といった様に、正確に数えるには複雑する過ぎる現実があります。
なので、私は短期トレードで使える範囲に、エリオット波動理論を取り入れることで改善しました。
もし、チャートに波のカウントをひたすら書き込んで取引している場合は、「エリオット波動理論とフィボナッチツールの簡単な使い方」参考になるでしょう。もちろん、波のカウントを研究して勝てている人はそのまま続けて下さい。
エリオット波動理論とフィボナッチツールの簡単な使い方
さて、ここまでエリオット波動理論の基礎を学んできました。
- エリオット波動理論の定義(原則)
- エリオット波動理論のセオリーとフィボナッチ
- エリオット波動理論のサイクルとフラクタル構造
何となく、理論的には納得できたかと思います。
次は、実践で使う時に「結局、難しくてエリオット波動が使えない問題」に向き合う時間です。
序盤の伏線回収ですが、私はオリジナルのエリオット波動理論を使うべきとお伝えしました。エリオット波動理論をトレードで活用する場合、私は2つの使い方しかしません。
- フィボナッチ・リトレースメントを使い「第2波でエントリー」
- フィボナッチ・リトレースメントを使い「第4波でエントリー」
この2つだけを狙ってエリオット波動理論は使っています。
なぜなら、前述したエリオット波動理論の定義には、明確に第2波と第4波には「これ以上の下落があったら、波のカウントが不正解」とあるからです。
例えば、第2波は第1波の安値を下回らない、間違ったら第1波の真下で損切りすれば良いので単純明快。
エリオット波動理論を具体的な使ったトレード例
エリオット波動理論の応用的なY波動、P波動といった波動パターンは使いません。
私個人の考えですが、複雑な波動パターンも結局はチャートパターンと同じだからです。
複雑な方法より、シンプルな方法を理解して実践に活用するのが良いトレード結果に繋がります。
なので、エリオット波動理論で明確に定義がある、シンプルな第2波と第4波を狙っていくのです。
ABCの下降波動もカウントするより、下降トレンドは別の方法で狙う方が簡単。
とは言え、意味合いは分かっていても、思考プロセスが分かっていないと実践できません。エリオット波動理論を使ったトレードシナリオの考え方を解説します。
エリオット波動理論を使ったエントリーポイント
具体例として挙げるのは、エリオット波動理論の第2波を予想したトレード。私なら赤矢印のポイントでロングを検討します。
まず、重要なのは波のカウントが分かりやすい場面で使うことです。
エリオット波動理論を学んで、実際に波を数えると、明らかにカウントが難しいチャートがあると思います。
難しいなら、数えない。
明確に「これ、第1波では?」と感じさせる急騰を基準に数えると分かりやすいです。
例えば、こちらのドル円1時間足チャートを見ると、直前までは誰が見ても下降トレンドです。
第1波と想定できる値動きは、大陽線2本で形成されており、明確に直近の下降トレンドとは「違う値動き感」が得られるはず。
第1波は、トレンドの初動として急騰が起きやすい傾向があると思います。下降トレンドの流れを、上昇トレンドへと変えるほどの力が第1波には必要だからです。
エリオット波動理論とフィボナッチ・リトレースメントを判断材料に
実際のエントリー判断は、時間足を落として考える場合が多いです。例えば、5分足チャートで今回の場合は分かりやすい判断基準もあります。
具体的に、どんな戦略をとっているかというと、こんな感じです。
①第1波にフィボナッチ・リトレースメントを使う
②FR 0.5・FR 0.618・FR 0.786まで待つ
③段階的にエントリーをする
第2波の安値は、第1波を割らず、フィボナッチ・リトレースメントの0.5以下で止まりやすいといったセオリーがありました。
なので、0.5以下の3段階に分けてエントリーをします。
自身の取引における最大ロットを決めておき、3分割に分けてエントリーすることで「ぴったり第2波を予想しなくて良い状態」を作るのがコツです。
第2波が深くなるほど、エントリーするロット数が増え、利益は大きくなります。
そして、段階的に割安で買えるので、段階を追うごとに、平均のポジション価格が有利に。
第2波のセオリーから、エントリーポイントを絞りつつ、ハズレても痛手にならない工夫です。
第3波も狙うが、都合よく勝つ
損切りと決済、エリオット波動理論の第2波から第3波を狙ったトレードは、この様な形になります。(損切:赤枠/利確:緑枠)
【損切り】第2波→第3波の展開を予想したのが買いトレードの根拠です。したがって、第1波のカウントが間違い「第1波の安値を下回った場合」に損切りを設定します。
【利確】第3波が発生するれば利益、少なくとも第1波の高値を超えるのは手堅い利確の水準です。
1時間足レベルのデイトレードなら、私は第3波の高値まで伸ばすことは滅多にないです。
第3波の予想はフィボナッチ・エクスパンションで目安を立てられます。
しかし、ポジションの持ち越しが嫌なので、少なくとも第1波の高値で決済するのが好きです。
例えば、第1波の高値で半分を利確、もし高値を抜けたら、真下に損切り注文を入れて、半分の利益を伸ばすのが良いでしょう。
(損切り水準がエントリーポイントより上になるので、ほぼ負けないトレードになります。)
【無料テクニカル講座】エリオット波動理論 まとめ
今回は、エリオット波動理論の基礎から実践を解説しました。
重要なポイントをまとめると以下の通りです。
- エリオット波動理論は「第1波~第5波の上昇トレンドとA~Cの下降トレンド」で構成
- エリオット波動理論には上昇局面に対して定義とセオリーがある
- エリオット波動理論が難しいと感じたら、第2波と第4波に特化して考える
ちなみに、エリオット波動理論だけで私はトレードしないので誤解のないように!とは言え、エリオット波動理論の基礎を理解すると、他の法則やパターンの仕組みも理解しやすいです。人によって手法やら、軸となる考え方は違えど「優位性のあるポイント」って結構同じ場所を見ていたりします。エリオット波動理論も、同じく他の知識に繋がるのでバランス良く学習が大切です。
コメント
[…] […]