ローソク足で相場をテクニカル分析する「プライスアクション」。
インジゲーターではなく、私はFXの軸としてローソク足に重きを置きます。
この記事では、プライスアクションの種類と私が研究した優位性のあるポイントを徹底的に網羅して行きます。(随時更新)
今回はプライスアクション「ピンバー」に特化した内容です。
※個人的なトレーダーとしての見解を強く含みます。
プライスアクションとは
ローソク足によって構成される、「価格」と「時間」の推移から相場の大衆心理を分析する方法をまとめて「プライスアクション」と言います。
欧州圏のトレーダーに最も支持される分析法の1つであり、日本が発祥の「酒田五法」としばしば比較されるが、プライスアクションは構成がシンプルであり、為替相場では特に好まれやすい。
しばしば、ローソク足のみで分析するのが正しい派とインジゲーターと組み合わせた方が精度が上がる派で議論される事があります。
ローソク足に特化した現代向けのプライスアクション
「ローソク足を使ったパターン認識では、最もプライスアクションが優れている。」
私は、この考えを持って相場と向き合います。
今現在の為替相場では、平日なら24時間ずっと誰もが売買できる環境が整っている。つまり、取引が盛んであり「値動き」も従来より圧倒的な速度感で動く。
こういった理由で、私は成立条件が難しい「酒田五法」やダブルトップなどの「チャートパターン」より迅速な対応ができると思っています。
スイングトレード、デイトレード、スキャルピングなど特定の時間に絞らず全てにおいて。
もちろん、これらのパターン認識は有名であれば、あるほど大衆に意識され機能するのは間違いないです。しかし、ローソク足によって見える相場環境をプライスアクションとして、自身に落とし込めば「パターン形成前」から予兆を分析する事が可能でしょう。
【転換系】 プライスアクション 「ピンバー」「スパイク」
FXの経験があれば、誰もが知っている最も優位性の高いエントリーポイント「転換点」。
これから生まれるトレンドに初動で乗る、究極の順張りを意味します。
それらを、いち早く察知するため転換を示唆するプライスアクションの基礎と、私が相場を見る中で気付いた転換が成立しやすい条件も共有します。
プライスアクション「ピンバー」
最もポピュラーな転換点を示唆させるプライスアクション「ピンバー」。
- 極端に上もしくは下髭が極端に長い
- 実体部分は極端に短い
- 髭方向への強いレジスタンスを示唆させる
ピンバーは、そのローソク足が生まれてから引けにかけて大きな買い、もしくは売り注文が入ったために形成されるプライスアクション。
このローソク足と近辺のエリアで形成されるチャートパターンで転換点を形成する。
誤解しないように。
「ピンバー」のプライスアクションだけで転換点ではありません。
実際のチャートを開けば、時間足以下でピンバーは高頻度で現れる。
これら全てが転換点と言えるだろうか?言えませんね。
一般的には「ピンバーは転換点を示唆させる」が正解とされます。
しかし、私の認識ではピンバーは相場環境の変化を起こすが、転換点とは根本的に異なる認識です。
「ピンバーは直近の強い圧力を明確に表す」
示唆ではなく、明確にそれを意味しているのがピンバーです。「強い圧力」とは意識される価格帯もしくはラインを指します。
- 上昇トレンドにおけるレジスタンス・サポートエリア
- 下降トレンドにおけるレジスタンス・サポートエリア
- トレンドを支えるトレンドライン
- レンジを規定する上下限
少なくとも、4つの要素の何らかを示す(確認する)役割になる極めて高いと言えます。
これを当サイト「TRADERS CAVE」ではピンバーの4要素とします。
プライスアクション 「スパイク」
ピンバー同様に、髭が長く実態が小さいローソク足「スパイク」。
- 下降トレンドが進行し、安値で形成され下髭の長い「スパイクロー」
- 上昇トレンドが進行し、高値で形成され上髭の長い「スパイクハイ」
いずれも、FX本や初心者メディアではトレンド転換を示唆するローソク足とされます。
お察しの通り、実践では必ずしも同じ作用をもたらしません。
私の認識では、ローソク足の実体部分の大きさが異なるだけで大まかな認識は、前述したピンバー同様。
合えて、同じ様な内容を記述しませんので説明は割愛します。
※私もトレーダーとして発展途上なので新しく「ピンバーとの違い」が発見できればアップデートします。
【初心者はココを間違える】ピンバーは単体より、複合で。
ピンバーを使ってトレードをする初心者が躓くパターンを先にお伝えします。
ピンバーにはアウトロー、いわゆる例外的パターンがあり、これらは2つの可能性として分岐し、シナリオに盛り込むことが可能です。
- 直近にレジサポがなく、ピンバーが現れた場合は「今後の節目基準となる」
- 経済指標の発表時に合わせて誕生した「不自然なローソク足」
「今後の節目基準となる」と言うのは、先にお話ししたピンバーの4要素。
ピンバーでトレンドラインしかり、レジスタンスエリアとして今後意識されるポイントを予想します。
Phase1 ピンバーの形成
実際のドル円チャート4時間足で解説します。
アウトローに混乱しないためには、前提の相場環境とその後の値動きを深く考察するのが大切です。
画像で抜粋した陽線の上髭長いピンバーが形成されました。本来であれば、高値付近で発生し下降トレンドへの転換が示唆されますが違いますね。
前提の相場環境では、ピンバーの左側では平行チャネル状の勢いが弱い下降トレンド【A】が発生中です。
これを踏まえ、ピンバーの誕生を読み解くと
- 平行チャネルの下限を節目として意識した買い注文が入った
- 平行チャネルの左側、直近安値をブレイクする期待として売り注文が入った
相場において正解はありませんが、これが最も納得のいく私の回答です。
- 直近にレジサポがなく、ピンバーが現れた場合は「今後の節目基準となる」
ですから、この時点で私なら髭部分をレジサポ候補としてオブジェクトを描写します。
描写したレジサポ候補が次のテクニカルにどんな作用をするか追っていきましょう。
ちなみに、私ならこの時点では売りも買いも検討しません。方向感もなくリスクリワードも割に合わないためです。
Phase2 ピンバー形成後、相場環境の変化
ピンバーは環境の変化として作用します。
今回は強い買い、ないしは買い売りの攻防を示唆できるローソク足でした。
画像のドル円チャートでは、ピンバーによる相場環境の変化が明確に伺えます。
ピンバー発生後、直近の安値をブレイクするも【A】より強い上昇を見せ、結果的に「フェイクセットアップ」のプライスアクションを見せました。
※フェイクセットアップはいわゆる「ダマシ」また別途記事でお話します。
- 弱くも明確に規則性があり「下降トレンド」が発生中
- 規定の安値付近で反発を狙う「逆張りの買い」下降トレンドの弱さを加味した「決済の買い」
つまり、相反する思惑が混濁することで「方向性のない相場」になる可能性は極めて高い。
方向性のない相場では、高安の更新もほとんどなく利益も期待できません。
先ほどの「私はこの時点ではエントリーしない」このような理由からです。
更に値動きを追ってみると、赤矢印の上昇をみせました。
短期的に逆張り、決済買いが強く入り反発の展開。対局では下降トレンドのため「反発」です。
現段階では、強い買いは入ったが相場参加者は「4時間足の転換」という共通認識を持ちません。
中途半端な上昇は、中途半端なプライスで止まります。値動きは結果として必ず合理的に。
赤縦線で区切った期間内の短期的な上昇【B】によってインバーテッドのプライスアクションも見えますね。
※こちらも別途詳しくお話しします。
直近の値動きから高値を切り上げ、安値を切り下げる展開によって明確に方向性のなさを分析できます。方向性の判明する展開を引き続き見守る「待ち」のトレード判断です。
Phase3 ピンバーからの展開で新たに規則性を生む
Phase2の値動きによって複数の規則性が判明しました。
ピンバー発生後の下落と上昇が止まったプライスは、明確に機能しているレジサポラインを教えてくれました。
水色で描写している通り、上を4回と下を3回で機能しています。
多くのトレーダーは「4回目の赤色で機能するだろう」と相場参加者に共通認識が芽生える仮説が立てられますが、その理由は1つではありません。
【B】の値動きから下降ウェッジの展開を見せました。方向性がない中、半ば無理矢理に下落が進行し、やがては無理な下落によって赤丸で買われる形でフェイクセットアップ成立。
別尺度で見れば、過去には上昇を見せてからの左下がりなのでチャートパターンで考えると「上昇の調整」ですね。
ですから、赤丸は明らかに買いが集まりやすく、水色の直近高値と4回機能した下降に対するサポートラインを上抜ける可能性は高まります。
つまり、相場に参加するトレーダーのシナリオを異なりますが、複数のシナリオで買い場として注目されるのが大切です。
今回のチャートでは赤丸に買い場として相場参加者の共通認識が出来ました。
私はラインへの4回目のタッチでエントリーを検討します。
Phase4 答え合わせ。そして転換へ
先ほどの赤丸、買いのエントリーポイント【D】とします。
ご覧の通り、価格は上昇し最終的には安値を切り上げ高値を切り上げる上昇トレンドとなりました。
- 直近にレジサポがなく、ピンバーが現れた場合は「今後の節目基準となる」
- 上昇トレンドにおけるレジスタンス・サポートエリア
アウトローなパターンのピンバーと、最初にお伝えしたピンバーの4要素を思い出して見てください。
ピンバーの上髭部分は、後の逆三尊で右肩安値として価格が止まり、遡れば左肩としても明確に機能しています。
誰もが知るトレンドの転換点となるチャートパターンですが、それを形成する前にピンバーの4要素を理解していれば早い段階で察知する事もできるでしょう。
逆三尊の形成後に買いをエントリーしていては、損切り幅も広がりますし、エントリー後の利益幅も狭くなります。
「これが聖杯だ」と自惚れる気はありませんが、私がプライスアクションを重視するのはポジションを早い段階でリスクリワード良くエントリーしやすいからです。
この様に、相場の異変を素早く察知し、次の値動きを予想する事で精神面でも余裕を持って傍観できます。
ピンバーは単体でエントリーを決断するのではなく、前後の値動きと複合して分析する事で精度を高める事が重要です。
まとめ パターンを鵜呑みにしない、他人の考えから共通部分を
最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回はプライスアクションの中でも「ピンバー」を集中的にお話ししました。
プライスアクションを一覧で見て、これは転換、これは押し目と数行の説明だけで学習してはいませんか?
パターンが綺麗にハマるというのは大きな誤認です。
大切なのは、その作用が相場に表れているか。そして、値動きの変化を複数の尺度でトレーダーのシナリオを分析すると共通の部分が見えてきます。
相場は多数派の意思が反映されますから、そこを抜粋してトレードに生かすイメージが大切だと私は考えています。
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