多くの初心者が損失を出す「フェイクセットアップ」。
意外にもテクニカルの知識が付き始めた頃に、自身の分析と反対方向に向かう「ダマシ」で翻弄される事が多いです。
今回は、短期トレードでも難題となるフェイクセットアップについてお話しします。
読み終える頃には、フェイクセットアップに対する考え方が変わるかも。
フェイクセットアップとは?
フェイクセットアップは、値動きがレンジの時に上下どちらかに抜ける動き「ブレイク」を見せるもレンジ内に回帰。
そして、ブレイク方向とは逆に値動きが向くプライスアクションです。
フォールスブレイクアウトとの違いは「前提条件」
逆方向の値動きとなる結果は同じ。
初心者はフェイクセットアップとフォールスブレイクアウトの違いが分かりません。
- フェイクセットアップは、レンジを抜ける素振りからの展開
- フォールスブレイクアウトはトレンドの高安値を更新失敗の展開
例えば、下降トレンドの発生中。
下降トレンドは、高値を切り下げ安値を切り上げる事です。
高安が下へ更新されるのが下降トレンドの定義。
トレンドが進行するなら当然、前回の安値を下にブレイクする必要があります。
このケースでフォールスブレイクアウトでは、直近安値を下へ抜けるが下落は進行せず、寧ろ逆の上方向へ価格が動く現象です。
初心者が騙されるフェイクセットアップパターン
フェイクセットアップに騙される理由
- マクロ視点の分析を怠り、ミクロ視点の弱い値動きに翻弄されている
- そもそもレンジ相場を分析できていない
初心者の多くが原因に気付けておらず、解決策も知らないため「ダマシ」で大きな損失を出すのです。
しかし、上記の2パターンが原因であれば後述する具体的な解決策で、フェイクセットアップの可能性を想定し、都合の良い「押し目」として捉える事もできるでしょう。
実際のチャートで見るフェイクセットアップ
ドル円2時間足で、縦幅が均等な水平の「レンジ相場」を抜き出してみました。
- 直近の上げ止まりの高値
- 直下の安値
最終的にはレンジ相場を上抜けして、上昇トレンド継続となります。
しかし、上昇に転じる前に細かい髭では2度は髭でトライ、下方向へレンジ終了を示唆させる大きな下落もありました。
明確に下へのブレイクは、このチャートだとフェイクセットアップだと言えるでしょう。
【解決策その1】マクロ視点での環境認識
一言で前提の相場を振り返ると「強い下落後のジリ上げ相場」
まずは、このマクロ視点での認識が持てているか?がキーポイントです。
- マクロ視点の分析を怠り、ミクロ視点の弱い値動きに翻弄されている
前述したフェイクセットアップを予想し、シナリオに盛り込むのは超重要。その為にはマクロ視点の分析が密接に関係しています。
「強い下落後のジリ上げ相場」ですから、対局の目線は下。下落トレンドであり、直近の高値は「戻り高値」と見られやすく、売り注文が入り易い認識を持つ必要があるでしょう。
それだけでも、「下へのフットワークが軽い相場だから、上に抜けるにしても一旦落ちる可能性がある」と予想し、メンタルコントロール的にも備えられますね。
【解決策その2】レンジ内の細かいトレンドを見る
レンジの中にも上昇、下降のトレンドが超短期的に発生するサイクルがある。それを分析できれば、レンジブレイクのダマシで火傷の可能性がグンと下がります。
「レンジ相場は抜けてから、ブレイク方向へエントリー」
この教えが初心者を負の連鎖へ陥れます。
そもそもレンジ相場にはどんな意味があるのでしょうか?
- 閉塞的な価格帯で時間をかける「次のトレンドへの準備期間」
- 同じ様なサイクルを繰り返す「買い売りの攻守交代期間」
レンジ相場の「バネ」の仕組みを考えよう
大半のレンジ相場は「バネ」の性質を持ち、そのバネとはボラティリティ(価格変動幅)です。
レンジ内部の動きでは小さなトレンドが生まれ、上昇と下降を狭い空間でサイクルを作ります。
そのサイクルに着目し、どちらに軍配が上がりつつあるか変化を分析するのです。
フェイクセットアップが起きないレンジとは?
レンジ相場の中で買い売り一方からの圧力が強まった場合は「三角持合い(triangle)」へと変化。
このパターンはフェイクセットアップが起きる可能性は低いと私は考えています。
例えば、売り圧力が時間の経過と共に増していくレンジ相場で、一定のラインに買い圧力の壁があると壁の崩壊と共に収縮したバネは力強く下へ。
実際にチャートで大きな三角持合いを探してみてください。レンジ相場からボラティリティを収縮させ三角持合いを形成したパターンは強いトレンドになってるはずです。
ポンド円リアルチャート「レンジ→三角持合い→下落トレンド」
実際にフェイクセットアップとなる可能性が低いチャートはこんな感じ。
- 明確に直近の高値を超えさせない力を増す「売り圧力」
- 壁となり買い支えるも、上昇の角度が倒れつつある「買い圧力」
視覚的にも分かり易いチャートがポンド円日足で見られました。
フェイクセットアップが起きづらいレンジでは、ボラティリティの収縮と明確な節目が上下限に見られやすいと言えるでしょう。
フェイクセットアップが起きやすいレンジとは?
一語一句も読み逃さなかったアナタはお分かりでしょう?
「ボラティリティの縮小と壁の見られないレンジ」これがフェイクセットアップを生み出します。
序盤でお見せしたドル円2時間足チャートで答え合わせしてみましょう。
このチャートでは、ボラティリティの縮小も曖昧でトレンドラインすら機能しているか怪しい状況。
また、レンジの下限もトライしたのは2回。買い支えだったか?と問われれば上昇も乏しく、万人がサポートラインと捉えるかと言われれば疑問が残ります。
逆転の発想で、レンジ内で買いを考えた時にロスカットはどこに置くか考えてみましょう。
キーポイントは何度も買い支えられたポイントで、多くのトレーダーは下抜けないレジスタンス領域直下にロスカットの注文を考えます。「信頼できるポイント」を求めるのです。
「ボラティリティの縮小と壁の見られないレンジ」 は、明確な買い売りの決着が見えない為、直近のレジスタンス領域で止まり、再びレンジ内に回帰する可能性が高い。
そして、曖昧だったポイントを明確にするように壁を作り、本来の方向へ突破。ここで重要なのは、不確かだった壁の領域を必ず明確にする事です。
壁がある事で節目が相場参加者に共通認識されます。
結果として、フェイク後には納得できるチャートパターンの形を作る現象が見えるのです
例えばこのような感じに・・・。
先ずは、レンジ相場のパターン認識から
フェイクセットアップが苦手な初心者なら
- マクロとミクロの分析で環境認識
- レンジ内部で買い売りの壁とボラティリティの収縮
この2点をお話しした考え方を元に分析しましょう。
「そもそも、こんな値動きだからダマシは起きるよね」の段階までスキルを定着できれば、圧倒的に損失機会は減らす事ができるでしょう。
さらに精度を上げ「利益」に変えるなら
再びレンジに回帰する事をシナリオに織り込み、直近のレジサポでエントリーできれば「利益」に変える事が出来ます。
しかし、今回のテクニックだけでは精度に不安があります。(フェイクセットアップに負ける可能性は下がりますが)
例えば、実践の私自身のテクニカル分析では、描写したラインやサークル部分のローソク足を詳しく見ていきます。
あくまで入門編なので今回は割愛しますが、上の画像がヒントになります。
今回の記事でお伝えしたことを応用するとパターン成立より、先行してエントリーが可能です。
まとめ 分からないレンジは結論なし、分かるレンジは結論あり
レンジ相場は売買せず、誰でも勝てるトレンド相場でエントリーしろ
誰でも勝てる相場何て存在しません。なのに、真っ当な答えのように教材では書かれている事が多いです。
次のトレンドが分かれば良いポジションが持てませんか?そのヒントがレンジ相場には隠されています。
分かり易いヒントがあれば結論としてパターンや強いトレンドを成立させます。
ヒントがなく難題なら、多くの人が結論にたどり着けず、分かりやすい形を作り出します。
大切なのは、相場においてコントロールできるのは自身のトレードのみという事。分からない状況では何一つ良い結果になりません。
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